不正な設定変更を防ぐ Windows アカウントを標準ユーザーに変更する必須手順
はじめに:なぜ日常使用するアカウントは標準ユーザーが良いのか
Windowsを安全に利用するために、ユーザーアカウントの権限を適切に設定することは非常に重要です。多くのPCでは、最初に設定したアカウントが「管理者」権限を持っています。管理者権限を持つアカウントは、システム全体の重要な設定変更や、ソフトウェアのインストール・アンインストールなど、あらゆる操作が制限なく行えます。
しかし、日常的に管理者権限のアカウントを使用していると、以下のようなリスクが高まります。
- 意図しないシステム変更のリスク: 誤操作によって、重要なシステム設定を変更してしまったり、必要なファイルを削除してしまったりする可能性があります。
- マルウェア感染時の被害拡大リスク: もし悪意のあるプログラム(マルウェア)に感染した場合、管理者権限で実行されると、システム全体に影響を与え、ファイルの暗号化(ランサムウェア)や、他のPCへの感染活動など、被害が甚大になる可能性があります。
これらのリスクを減らすために推奨されるのが、普段使いのアカウントを「標準ユーザー」に変更することです。標準ユーザーアカウントは、自分自身のファイルや設定の変更は可能ですが、システム全体に関わる変更を行う際には管理者の許可(通常は管理者アカウントのパスワード入力)が必要となります。これにより、万が一マルウェアに感染しても、システムへの影響を限定したり、意図しない設定変更を防いだりする効果が期待できます。
この解説では、現在管理者権限を持っているアカウントを、Windowsの標準機能を使って安全に標準ユーザーに変更する手順を説明します。短時間で完了できる必須のセキュリティ設定です。
Windowsアカウントを標準ユーザーに変更する手順
管理者権限を持つアカウントを標準ユーザーに変更するには、別の管理者アカウントが必要です。もしPCに管理者アカウントが一つしかない場合は、まず新しい管理者アカウントを作成してからこの手順に進んでください。
ここでは、既存の管理者アカウント(日常使用しているアカウント)を標準ユーザーに変更する手順を説明します。
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設定アプリを開く
- Windowsのスタートボタンをクリックし、歯車アイコンの「設定」をクリックします。または、キーボードの
Windowsキー + I
を押して設定を開くこともできます。
- Windowsのスタートボタンをクリックし、歯車アイコンの「設定」をクリックします。または、キーボードの
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「アカウント」を選択する
- 設定ウィンドウが開いたら、項目の中から「アカウント」をクリックします。
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「家族とその他のユーザー」または「その他のユーザー」を選択する
- 画面左側のメニューから「家族とその他のユーザー」または「その他のユーザー」を選択します。(Windowsのバージョンによって表示が異なる場合があります。)
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権限を変更したいアカウントを選択する
- 画面右側に表示されるユーザーアカウントの一覧から、標準ユーザーに変更したいアカウント(通常は現在サインインしているアカウントとは別のアカウント。ただし、後述の注意点を確認してください。)をクリックして選択します。
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「アカウントの種類の変更」をクリックする
- 選択したアカウントの下に表示されるボタンの中から、「アカウントの種類の変更」をクリックします。
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アカウントの種類を「標準ユーザー」に設定する
- 「アカウントの種類の変更」という小さなウィンドウが表示されます。「アカウントの種類」のドロップダウンリストをクリックし、「標準ユーザー」を選択します。
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「OK」をクリックして変更を確定する
- 設定が「標準ユーザー」になっていることを確認し、「OK」ボタンをクリックします。
これで、選択したアカウントが標準ユーザー権限に変更されました。サインアウトまたはPCを再起動してから、そのアカウントでサインインし直すと、権限が変更されていることを確認できます。
設定の意味と補足事項
- 管理者アカウント: この権限を持つユーザーは、PC上の全てのリソース(ファイル、設定、プログラムなど)に対して完全な制御権を持ちます。システムの重要なファイルや設定を変更したり、すべてのユーザーに対して影響するソフトウェアをインストールしたりできます。
- 標準ユーザーアカウント: この権限を持つユーザーは、自分自身のファイルや設定を管理できますが、システム全体に影響する変更(例:システムファイルやレジストリの変更、全てのユーザーが利用するソフトウェアのインストールなど)を行うには、管理者アカウントのパスワードを入力して許可を得る必要があります。この仕組みは「ユーザーアカウント制御(UAC)」と呼ばれ、セキュリティを強化します。
【重要な補足事項】
- 必ず一つは管理者アカウントを残す: PC上に管理者アカウントが全くなくなってしまうと、システムの重要な設定変更や新しいソフトウェアのインストールなどが一切できなくなり、PCの管理が非常に困難になります。このため、日常使用するアカウントを標準ユーザーに変更する場合でも、緊急時やシステム管理のために、必ず一つは別途管理者権限を持つアカウントを残しておいてください。
- 現在サインインしているアカウントの変更: Windowsの仕様上、現在サインインしているアカウントの種類は変更できない場合があります。その場合は、一度別の管理者アカウントでサインインし直し、そこから対象のアカウントの種類を変更してください。
まとめ:安全な日常利用のためのアカウント設定
日常的に使用するWindowsアカウントを標準ユーザーに変更することは、不正なシステム設定変更やマルウェアによる被害拡大を防ぐための基本的かつ重要なセキュリティ対策です。この設定により、PCの安全性が大きく向上します。
設定手順はシンプルですので、この記事の手順を参考に、ぜひご自身のPCのアカウント設定を見直してみてください。アカウントの種類を適切に管理することは、安全なデジタルライフの第一歩と言えます。この設定と合わせて、パスワードやPINの設定、ユーザーアカウント制御(UAC)の有効化なども確認しておくことをお勧めします。