確実なサインインを! Windows Ctrl+Alt+Del(安全なログオン)必須設定手順
なぜ安全なログオン(Ctrl+Alt+Del)の設定が必要なのか
PCにサインインする際、通常はユーザー名やパスワードを入力する画面が表示されます。しかし、マルウェアなどがこのサインイン画面を偽装し、パスワードを盗み取ろうとする試みが存在します。このような偽装画面は、見た目が正規のサインイン画面とほとんど同じであるため、気づかずにパスワードを入力してしまうリスクがあります。
そこで役立つのが、「安全なログオン」と呼ばれる機能です。これは、サインインする前に必ずキーボードの「Ctrl」キーと「Alt」キー、そして「Delete」キーを同時に押すことを求める設定です。Windowsは、この「Ctrl + Alt + Del」という特定のキーの組み合わせをOSのセキュリティ保護された領域で処理するように設計されています。これにより、マルウェアなどがこのキー入力を傍受したり、偽装された画面で表示を乗っ取ったりすることが非常に困難になります。
この設定を有効にすることで、サインイン画面が表示される前にCtrl+Alt+Delの入力が要求され、入力後にのみ正規のWindowsサインイン画面が表示されるようになります。これは、今から操作しようとしている画面が、間違いなくWindowsによって安全に提供された画面であるという保証となり、偽装ログイン画面によるパスワード漏洩のリスクを効果的に防ぐための「必須」のセキュリティ対策と言えます。
安全なログオン(Ctrl+Alt+Del)を要求する設定手順
この設定は、Windowsの「グループポリシーエディター」を使用して行います。ただし、グループポリシーエディターはWindows 10/11 Pro、Enterprise、Educationエディションで利用可能な機能です。Homeエディションではこのツールは標準で利用できません。
ここでは、Windows Pro以上のエディションをお使いの方向けの手順を解説します。
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「ファイル名を指定して実行」を開く
- キーボードの
Windows
キーを押しながらR
キーを押してください。 - 画面左下に「ファイル名を指定して実行」という小さなウィンドウが表示されます。
- キーボードの
-
グループポリシーエディターを起動する
- 表示された「ファイル名を指定して実行」ウィンドウの入力欄に
gpedit.msc
と入力してください。 OK
ボタンをクリックするか、キーボードのEnter
キーを押してください。- 「ユーザーアカウント制御」のダイアログが表示された場合は、「はい」をクリックして許可してください。
- 「ローカル グループ ポリシー エディター」というウィンドウが表示されます。
- 表示された「ファイル名を指定して実行」ウィンドウの入力欄に
-
設定項目を探す
- 「ローカル グループ ポリシー エディター」ウィンドウの左ペイン(フォルダのように展開できる領域)を操作します。
- 以下の順に項目を展開してください。
コンピューターの構成
をクリックして展開します。- 展開された項目の中から
管理用テンプレート
をクリックして展開します。 - 展開された項目の中から
システム
をクリックして展開します。 - 展開された項目の中から
ログオンオプション
をクリックします(展開は不要です)。
-
ポリシー設定を開く
- 左ペインで「ログオンオプション」を選択した状態で、右ペインに表示されるポリシーの一覧を確認します。
- 一覧の中から「Ctrl + Alt + Del のセキュリティで保護されたログオンを無効にする」という名前のポリシーを探し、ダブルクリックしてください。
- このポリシーは、セキュリティで保護されたログオン(Ctrl+Alt+Delを要求する機能)を「無効にする」ための設定です。そのため、この設定を「無効」にすることで、逆に安全なログオンが「有効」になります。
-
設定を変更する
- 「Ctrl + Alt + Del のセキュリティで保護されたログオンを無効にする」ポリシーの設定ウィンドウが表示されます。
- ウィンドウの左上にあるオプションから、
無効
を選択してください。 適用
ボタンをクリックし、続いてOK
ボタンをクリックしてください。
-
設定の反映
- 通常、設定はすぐに反映されますが、PCを再起動するか、一度サインアウトしてからサインインし直すことで確実に反映されます。
これで、Windowsにサインインする際に、Ctrl+Alt+Delキーの同時押しが要求されるようになります。
設定の意味と補足
この設定を「無効」にすることで、ポリシー名が示す「Ctrl + Alt + Del のセキュリティで保護されたログオンを無効にする」という動作が停止します。つまり、セキュリティで保護されたログオン機能が「有効」になるということです。少し分かりにくい表現ですが、このように解釈してください。
この設定が有効になると、PCの起動後やロック画面からの復帰時に、パスワード入力画面の前に必ず「Ctrl + Alt + Delを押してください」というメッセージが表示されるようになります。ここで指示されたキーを押さない限り、サインイン画面には進むことができません。
この一手間が増えることになりますが、これにより、表示されているサインイン画面がマルウェアなどによって偽装されたものではなく、Windows自体が表示している安全な画面であると確認することができます。特に、不特定多数の人が触れる可能性のある共有PCや、高度なセキュリティが求められる環境で有効な対策です。
まとめ
Windowsサインイン時にCtrl+Alt+Delの入力を要求する設定は、偽装ログイン画面によるパスワードや個人情報の窃盗を防ぐための有効な手段です。今回解説した手順で設定を完了すれば、サインインの安全性を高める基本的な対策の一つが実施されたことになります。
この設定は、Windowsの標準機能であるグループポリシーエディターを使用して比較的簡単に行うことができます(対応エディションの場合)。サイバー攻撃のリスクが多様化する中で、ご自身のPCのサインインプロセスを強化することは非常に重要です。
パスワード、PIN、Windows Helloなどのサインインオプションの設定と合わせて、この安全なログオン設定も活用することで、より堅牢なセキュリティ環境を構築することができます。まだ設定されていない場合は、ぜひ今回の手順を参考に設定を行ってみてください。