セキュリティ強化に必須 Windows 標準ユーザーアカウントの利用手順
はじめに:なぜ普段使いに「標準ユーザー」が必要なのか
Windowsをご利用の際、多くの方が普段から「管理者アカウント」でサインインしているかもしれません。しかし、これはセキュリティ上のリスクを伴います。管理者アカウントは、システム全体の設定変更、ソフトウェアのインストール・アンインストール、ユーザーアカウントの管理など、あらゆる権限を持っています。そのため、もし悪意のあるソフトウェア(マルウェア)に感染した場合、管理者権限が悪用されてPC全体に被害が及んだり、重要なシステムファイルが破壊されたりする可能性があります。
そこで推奨されるのが、普段のインターネット閲覧やメール、一般的な業務には「標準ユーザーアカウント」を使用することです。標準ユーザーは、システムへの重要な変更を行う権限が制限されています。これにより、たとえマルウェアに感染しても、その影響を限定的な範囲に抑えることができます。この設定は、あなたのPCをより安全に運用するための基本的な対策と言えます。
この解説では、普段使い用の標準ユーザーアカウントを作成し、安全に利用するための具体的な手順を説明します。Windowsの標準機能だけで設定できますので、ぜひこの機会に実践してみてください。
標準ユーザーアカウントを作成・利用する手順
普段お使いの管理者アカウントとは別に、日常操作用の標準ユーザーアカウントを作成します。
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Windowsの設定を開きます。
- Windowsのスタートボタンを右クリックします。
- 表示されたメニューから「設定」を選択します。
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「アカウント」に進みます。
- 設定画面が開いたら、左側のメニューまたは中央のアイコンリストから「アカウント」を選択します。
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「家族とその他のユーザー」を選択します。
- アカウント画面の左側メニュー(または一覧)から「家族とその他のユーザー」を選択します。
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「その他のユーザーをこのPCに追加」をクリックします。
- 「その他のユーザー」の項目にある「その他のユーザーをこのPCに追加」ボタンをクリックします。
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サインイン情報を入力する画面が表示されます。
- ここで「このユーザーのサインイン情報がありません」をクリックします。Microsoftアカウントの追加画面が表示されますが、ここではローカルアカウント(Microsoftアカウントを使わないアカウント)を作成します。
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「Microsoft アカウントを持たないユーザーを追加する」を選択します。
- 「アカウントを作成しましょう」という画面が表示されたら、一番下にある「Microsoft アカウントを持たないユーザーを追加する」をクリックします。
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ユーザー情報とパスワードを設定します。
- 新しいユーザーのユーザー名を入力します。普段使いと分かるような名前が良いでしょう。
- パスワードを設定します。セキュリティ質問も設定します(忘れた場合の復旧用)。パスワードは必ず設定してください。
- 入力が終わったら「次へ」をクリックします。
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作成したアカウントの種類を「標準ユーザー」に変更します。
- 「家族とその他のユーザー」の画面に戻ると、今作成したユーザー名が表示されています。
- そのユーザー名をクリックすると、「アカウントの種類の変更」というボタンが表示されます。これをクリックします。
- 「アカウントの種類を変更します」というダイアログボックスが表示されます。
- 「アカウントの種類」のドロップダウンメニューから「標準ユーザー」を選択します。
- 「OK」をクリックします。
これで、普段使い用の標準ユーザーアカウントが作成されました。
- 新しい標準ユーザーアカウントでサインインします。
- 現在の管理者アカウントからサインアウトします。
- サインイン画面で、今作成した新しいユーザーアカウントを選択し、設定したパスワードを入力してサインインします。
設定の意味と補足
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管理者 vs 標準ユーザー:
- 管理者: PCの全ての設定を変更したり、ソフトウェアをインストールしたり、他のユーザーの設定を変えたりできる、最も強力な権限を持つアカウントです。PCの管理に必要なため、少なくとも1つは管理者アカウントが必要です。
- 標準ユーザー: 日常的なソフトウェアの使用やファイルの保存など、一般的な操作を行うためのアカウントです。システムに重要な変更を加える操作(ソフトウェアのインストールなど)を行う際には、管理者アカウントのパスワードを求められます(ユーザーアカウント制御 - UAC)。これにより、意図しない変更や、マルウェアによる勝手なインストールを防ぐことができます。
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なぜ普段使いは標準ユーザーか:
- 標準ユーザーで操作している限り、ソフトウェアのインストールや重要なシステム設定の変更には管理者の許可が必要です。これにより、もし危険なサイトを閲覧したり、誤って不審なファイルを開いたりしてしまっても、マルウェアがシステム全体に感染したり、設定を改ざんしたりするのを防ぐ可能性が高まります。被害を限定的に食い止めることができる、非常に重要なセキュリティ対策です。
まとめ
新しい標準ユーザーアカウントを作成し、普段のPC操作をそちらで行うように設定が完了しました。
この設定により、日常的な操作におけるセキュリティリスクが大幅に軽減されます。管理者アカウントは、ソフトウェアのインストールや重要な設定変更を行うときだけ使用し、普段使いには標準ユーザーアカウントを利用するという習慣をつけましょう。これは、サイバー攻撃からあなたのPCを守るための、簡単でありながら非常に効果的な「必須」のセキュリティ対策です。
今後、ソフトウェアのインストールなどで管理者権限が必要になった際は、Windowsのユーザーアカウント制御(UAC)の画面が表示されます。そこで管理者アカウントのパスワードを入力することで、一時的に管理者権限での操作が可能になります。
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